神経疾患について
頚椎・胸椎・腰椎の検査診断
脳疾患では、
- 手足のしびれ
- 力が入りにくい
- 歩きにくい など
さまざまな症状が現れることがありますが、
- 脊椎
- 脊髄
- 末梢神経
に起こる神経疾患でも、同様の症状がでることがあります。
脊椎とは
椎骨(ついこつ)よばれる骨が連結された骨格を脊椎(せきつい)といいます。
脊椎は頭側から、首の骨(頚椎:けいつい)、胸の骨(胸椎:きょうつい)、腰の骨(腰椎:ようつい)があり、その下にお尻部分の骨(仙椎:せんつい、尾骨:びこつ)があります。
脊髄とは
脊椎の中心には脊柱管という空間があり、その中を通っている神経が脊髄です。脳と脊髄を併せて、中枢神経系といいます。
末梢神経とは
脳と脊髄を作る「中枢神経」以外に、体の各部に存在する細い多数の神経繊維を末梢神経(まっしょうしんけい)といいます。
末梢神経は、全身の器官・組織に分布します。
脳から手足の末梢神経までの神経は、すべてつながっているため、この神経のどこかで障害が起こると手足に症状が起こります。
そのため、こうした神経の経路をMRI検査などで精密に検査することが、適切な治療には不可欠です。
首・背中・腰の痛み
末梢神経疾患
末梢神経障害とは
末梢神経とは脳や脊髄などの中枢神経から分かれて、全身の器官・組織に分布する神経のことです。
末梢神経は、大きく以下の3つに分けられます。
- 運動神経:全身の筋肉を動かす機能
- 感覚神経:痛み、冷感、触れた感触など、皮膚の感覚や振動、関節の位置などを感じる機能
- 自律神経:血圧・体温の調節や心臓・腸など内臓の働きを調整する機能
末梢神経障害とは、これらの神経がダメージを受け、働きが悪くなることで起こる種々の障害のことです。
主な症状は、それぞれ以下になります。
- 運動神経の障害
→ 手足の筋力が低下した。筋肉が痩せてきた - 感覚神経の障害
→ しびれや痛みが生じたり、逆に感覚が鈍くなったり、消失したりする。 - 自律神経の障害
→ 手足の発汗障害や異常知覚などがみられる。
これらの障害は単独で生じることもありますが、通常は複合されて症状が現れます。
体の痛みやしびれ等の違和感はご相談ください
脊髄、末梢神経疾患には、腰部椎間板ヘルニアなど一般的によく知られた病気もあります。
また脊髄の病気は、脊髄を取り囲む脊椎や椎間板などが神経を圧迫して障害を起こすことが主な原因となって生じます。
いずれの症状においても、検査と診断によって原因を正しく評価することが正しい治療のスタートだと考えています。
お体に違和感がある方は、お気軽に当院へご相談ください。
手がふるえる・勝手に動く
規則的なふるえ・勝手に動く症状
- 規則的に手や足がふるえる。
- 動かそうとすると、ふるえる。
- 安静にしていても、ふるえる。
- じっとしていられない。(勝手に動く)
手脚がふるえたり、勝手に動いてしまう症状によって、日常生活が困難になっている方はいないでしょうか。
手足のふるえを引き起こす代表疾患
手足のふるえを引き起こす代表疾患としては
- パーキンソン病
- 本態性振戦
→ふるえの症状のみがでる病気。ふるえ以外の症状はみられないという特徴がある。 - ハンチントン病
- 脊髄小脳変性症
などがあげられます。
検査・治療について
まずはMRI検査などによって頭部の状態を検査します。
各疾患には特徴的な脳部位の異常がみられますので、それらを調べていきます。
ドパミントランスポーターSPECT検査
脳から全身に信号を送る際の仲立ちとなるドパミントランスポーターの状態を見る検査です。
パーキンソン病やレビー小体型認知症の診断に有用です。
各疾患によって使用する薬剤が異なりますが、パーキンソン病に対しては脳内のドパミン作用を増強させる薬剤が用いられます。
力が入らない
手足に力が入らずに日常生活が困難に
- 脚に力が入らず、スムーズに立ち上がれない。
- 脚に力が入らずに歩行が困難になる。
- 物をつかもうとした際に、力が入らない。
手足に力が入らないという症状は、急に身体に変化がではじめて症状が悪化する場合と、徐々に症状が進行し悪化してしまう場合があります。
身体に脱力感がある際の代表疾患
手足に力が入らずに日常生活が困難になってしまう方は
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血)
- ギラン・バレー症候群
- 多発筋炎
- 筋萎縮性側索硬化症
などの疾患が疑われます。
検査・治療について
頭部CT検査や頭部MRI検査を行い、脱力の原因となる異常所見の有無を調べます。
脳梗塞の治療
脳梗塞の治療は、一刻も早く始めることが重要です。
脳梗塞のタイプによって治療法は異なりますが、脳の血液循環を改善させる治療(基本的には点滴や飲み薬による薬物治療)を実施します。
ギラン・バレー症候群が疑われる場合
- 筋電図検査
- 血液検査
- 髄液検査(腰椎穿刺検査)
- MRI検査
- 神経伝導検査
など詳細な検査が必要となります。
治療法としては、大量ガンマグロブリン療法や血しょう交換療法が検討されます。
治療開始が早いほど回復、完治の可能性が高まります。
けいれんする
小児から高齢者まで幅広く発生する症状
けいれん(痙攣)とは、全身や身体の一部に現れる筋肉の収縮です。
自分の意思とは無関係に、数秒~数分間の短い「けいれん発作」が起こることが多いです。
けいれんの原因
- 脳血管疾患
- 頭部外傷
- 身体疾患の急性症状
- 薬物やアルコール
- 発熱をきっかけに発生
- 精神的なストレス、ショックによって発生
など、けいれんの原因は多種多様あり、原因がはっきりしないケースも少なくありません。
検査・治療について
頭部CT検査や頭部MRI検査を行い、けいれんの原因となる異常所見の有無を調べます。
脳波検査
神経細胞の活動に異常があるかどうかを調べます。
血液検査・脳脊髄液検査
けいれんの原因を調べることもあります。
けいれんが長時間持続することはあまりありません。
自然に治まることがほとんどですが、繰り返し生じる場合には薬物療法(抗てんかん薬の内服)によって症状の再発を予防します。
筋肉のやせ
筋肉がやせる「筋萎縮」
筋が萎縮すると筋力も低下し、今まで出来ていた動作が困難になります。
筋肉自体の病気
肩から二の腕や腰回りから太ももにかけての筋肉が萎縮しやすい傾向にあります。
運動神経の障害
筋肉に運動の指令を直接伝えている運動神経の病気では、手足の先の筋肉が萎縮しやすい傾向にあります。
筋肉がやせる代表疾患
- 炎症性筋疾患
- 筋ジストロフィー
- 末梢神経障害
- 筋萎縮性側索硬化症
などがあげられます。
検査・治療について
電気生理学的検査
- 針筋電図
- 神経伝導検査
などの検査を行います。
筋生検
筋生検は診断のために病理学的な確認が必要な時に実施される検査です。
筋肉の病気が疑われる場合には、筋肉を少量採取して筋生検が必要になる場合もあります。
筋萎縮を治療するには、まず正確な原因を診断して、適切な治療法を選択することが重要です。
ろれつが回らない
会話時に明瞭な言葉を発することができない
「話す」という動作は
- 脳の部位
- 末梢神経
- 筋肉
など、筋運動を司る部分が正常に機能することで成り立ちます。
この機能のどこかに障害が出ることによって、
- ろれつが回らない。
- 思うように話すことができない。
という症状が起こります。
ろれつが回らなくなる代表疾患
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血)
- 脊髄小脳変性症
- 多系統萎縮症
- 筋萎縮性側索硬化症
- 重症筋無力症
などがあげられます。
脳卒中では急性に発症しますが、それ以外の疾患では徐々に悪化することが多いです。
検査・治療について
頭部CT検査や頭部MRI検査を行い、症状の原因となる異常所見の有無を調べます。
筋萎縮性側索硬化症が疑われる場合
- 神経伝導検査
- 筋電図検査
が行われます。
脳梗塞の場合
脳の血液循環を改善させる治療が行われます。
他の疾患に対しても原因に応じた治療が行われます。
見えにくい
症状はあるものの眼科で異常がみられない
視界に何らかの障害があっても、眼科的診察では眼球部分の異常は認められないことがあります。
たとえば、
- 片目または両目の視力が低下している。
- 視野が欠けて見える。
という症状です。
その場合、脳神経内科疾患が原因となっている可能性を疑います。
視界に異常がみられる代表疾患
- 多発性硬化症
- 視神経脊髄炎
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血)
などがあげられます。
検査・治療
頭部MRI検査を行い、眼球の後方にある視神経から視覚の中枢である後頭葉までの経路に異常があるかどうかを調べます。
※ 視力や視野については眼科で検査します。
多発性硬化症の場合
急性期にはステロイド療法が行われ、再発予防には免疫異常を調整する種々の薬剤が用いられます。
視神経脊髄炎の場合
ステロイド療法や血しょう交換療法が実施されます。
ふらつく
歩行時にふらつく症状
バランスを維持する機能が障害され、
- まっすぐ歩けない。
- 転びやすい。
など、歩行時にふらつくような症状が表れます。
ふらつきの原因としては、
- バランス機能を司る脳部位の障害
- 両足の感覚機能の障害
が考えられます。
ふらつく症状が出た際に疑われる代表疾患
- 脊髄小脳変性症
- 多系統萎縮症
- 多発ニューロパチー
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血)
などがあげられます。
検査・治療
頭部CT検査や頭部MRI検査を行い、疾患に応じて特徴的な脳部位の異常所見の有無を調べます。
また、神経伝導検査により手足の感覚機能を調べます。
脊髄小脳変性症・多系統萎縮症
バランス機能を改善させる薬剤が用いられます。
多発ニューロパチー
大量ガンマグロブリン療法や血しょう交換療法が行われることもあります。